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磯谷博史:時差画と虚像を巡る認識論 @ 青山|目黒 (過去サイト・アーカイブの再投稿) In the Context of Epistemology: ISOYA Hirofumi’s Virtual and Time Lag Images @ AOYAMA | MEGURO (repost from the archive)

磯谷博史 Hirofumi Isoya "Lag 4" 2014 Framed C-print, wood, metal, 71 x 120 x 16 cm, Edition of 3 (青山|目黒、東京)

2015年1月3日のARTiT 公式ブログから ART+CULTUREに移動するエントリー。
“In the Context of Epistemology: ISOYA Hirofumi’s Virtual and Time Lag Images @ AOYAMA | MEGURO” (3rd of January, 2015) repost from my former, now defunct, official ARTiT blog to ART+CULTURE.
(Some up-dates and alterations had been made)

Recommending his new exhibition:
磯谷 博史:流れを原型として @ 青山|目黒
ISOYA Hirofumi: Figured in the drift of things @ AOYAMA | MEGURO
http://art-culture.world/articles/isoya-hirofumi-figured-in-the-drift-of-things-aoyama-meguro/



磯谷博史:時差画と虚像を巡る認識論 @ 青山|目黒

(2015年1月3日)
A star is born。
一昨年、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」@ Palazzo Bembo、昨年、バーゼルLISTEの青山|目黒ブースでの盛況に続き、現在、同ギャラリーで非常に見応えのある磯谷博史個展「Lag」が開催中です。(1)

バーゼルでの大反響の中には、多くのグローバルトップキュレーター、批評家、コレクター、そして地元の人々が磯谷博史の様々な作品に深く興味を示し、高く評価されました。

新旧思想の衝突を飛び越え、日本現代アート史の概念を追求する高松次郎(2)のようなスピリットを垣間見ました。
未だに、このような、ありがたいアーティストが少ないのは不思議な事です。

我が国の美術界は、これまで文化庁が援助する美術団体や「官展」の芸術院などの組織団体が非常に強く、つまり、何十年もセンセイ達におべっかを使うアーティスト、「申し合わせ」の賄賂文化、年功序列の仕組みを産み出し、このような間違った権利のおかげで、下落の道を辿りました。(3)

その一方で、青山|目黒によって、優秀なノン・コンフォルミストなアーティストが応援され、例えば、田中功起さんは一昨年、第55回 ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表として、日本美術史の文脈で、初めて特別表彰受賞し、「アーティスト・オブ・ザ・イヤー 2015」の名誉を与えられました。(4)

今回、磯谷博史さんの個展にも、「Lag」という秀作が登場し、オーディエンスに非常に魅力的な観念を抱かせています。

では、次の写真には、何が観えるでしょう?

磯谷博史 Hirofumi Isoya Lag 1
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Lag 1” 2014
Framed C-print, wood, metal, 103 x 99.6 x 19.2 cm, Edition of 3
(AOYAMA | MEGURO booth, LISTE, Basel)

大体の方は、磯谷さんの表現媒体としての「写真」に視点が行き、その次に、棚から落下した「フレーム」に集中します。

では、その「フレーミング」(5) の表側にはどのような「写真」が写されているでしょう?

私が撮った写真に、磯谷さんの仕掛けたインスタレーションが、観えますか?

まず、この写真の裏側を確かめたくなるのではないでしょうか?

または、この時地震が起きたのか、作品が床に落ちる寸前をとらえたのか?

どういうわけか、現場の鑑賞者は、無意識的に体が動き出し、展示壁に手を差し伸べたくなるかもしれません。

頭の混乱ですが、結構、写真は、写実ではなく、非現実的なものです。延長概念として、インターネットの仮想現実性に相応しい隠喩だと言えるでしょう。

その他、一般的に「フレーミング」の裏には表の写真があるはずと想像しますが、その「裏」・「表」であるかは、誰が決めたのでしょうか?

反転象の方が、現実かもしれませんし、二元論も正しくないかもしれません。

「表・裏」「陰陽」「イエス・ノー」「両極」「女男」、「白黒」に対して、価値観は「社会的な枠組み」によって人それぞれ異なります。
ポスト・ポストモダンなグローバリズムの流れで、ポリフォニーや虚像の中で今を生きる若者の現実世界は、心理学的に新しい精神分析になるかもしれません。

磯谷さんの優れた作品の中には、もう一つの無調性的、考えさせられる層があります。

磯谷博史 Hirofumi Isoya Lag 2
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Lag 2” 2014
Framed C-print, wood, metal, 103 x 99.6 x 19.2 cm, Edition of 3
(AOYAMA | MEGURO booth, LISTE, Basel)

それは、謎めいた「将来を切り取る」写真にも観える事です。
つまり、「フレーミング」された「写真」がこれから棚から落下する「実在」。

それと全く同じ物が、目の前に見える。写真、フレーム、色、棚、螺子、、、全てのパーツがインスタレーション作品であり、一応、チェックしましたが、フレームに落ちた時の傷跡などはありませんでした。

逆説として、写実的な写真は「反実在」を表すとも言えます。一般論による写真は、「人類史の記録」、過去の写真のトゥロープ (trope)となりますが、磯谷の場合、「未来のトゥロープ」を暗示させます。

「Lag」作の精髄を究めると、ノスタルジアを未来に移動させる「時差画」です。落下した「フレーミング」は壊れた証拠が欠如で、原因と結果から世俗の超越が示唆されます。時間配列表と認識論をクリティカル・チャレンジの上、磯谷博史の想像力は、ある争点に加え、「生存」と「物の哀れ」に結晶し、鋭敏なアート実践を見事に表現しています。

その他、様々な感動的作品群の中、「Southward」という人気制作は、時計の歴史や開発を再概念しています。

北と南半球の鑑賞者の間に認識の差が感じられるのは、面白く、こちらも、今までの居場所を容認しないように、価値観を巡る文化論として解説できます。ある意味、「西洋文明」への崇高な批難、丁寧にソーシャル・コメンタリーし、「正しさ」に対する疑問を作り出しています。
後は、ご想像にお任せ致しますが、我々の繁栄は虚像にすぎなかったかもしれないというアレゴリーです。

磯谷博史の個展は、1月10日まで、是非とも、青山|目黒まで足をお運び下さいませ。英/日本語のカタログでの兼平彦太郎氏の評論もおすすめ致します。

東京、2015年1月3日
亜 真里男

(1)
磯谷 博史「Lag」
2014年12月13日[土] – 2015年1月10日[土]
http://aoyamameguro.com/artists/hirofumi-isoya-lag/

(2)
高松次郎ミステリーズ @ 東京国立近代美術館
2014年12月2日(火)~2015年3月1日(日)
http://www.momat.go.jp/Honkan/takamatsujiro/

2015年2月2日のアップ・デート:
高松次郎を巡るモダニズム対故意の無意義 @ 東京国立近代美術館 1/2
(former link)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/NRkIcoWfdUmMsHhF3iEe/

(3)
我が国にっぽんの恥「日展」
http://art-culture.world/articles/nitten-the-shame-of-our-nation-nippon/

(4)
田中功起「アーティスト・オブ・ザ・イヤー 2015」
(former link)
http://www.art-it.asia/u/sfztpm/02xAlY5ceUFh3gjB7Vrq/

(5)
ご参照:
Framing (social sciences)
https://en.wikipedia.org/wiki/Framing_(social_sciences)

Framing effect (psychology)
http://en.wikipedia.org/wiki/Framing_effect_(psychology)

—————————–

磯谷 博史「Lag」

2014年12月13日 – 2015年1月10日
青山|目黒 
153-0051 東京都 目黒区 上目黒2-30-6 
Tel. 03-3711-4099 
http://aoyamameguro.com/artists/hirofumi-isoya-lag/

NADiff Window Gallery
vol.38
磯谷 博史「ブックローンチとウォールドローイング: Southward」

2014年11月23日 - 1月12日
作品集:磯谷博史『Hirofumi Isoya』
2014 / 青山|目黒 / A4 / 英語 ※日本語対訳リーフレット付き

執筆:兼平彦太郎「The depth of a moment」

価格:1,500円+税

東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 1F

http://www.nadiff.com/fair_event/window38_isoya.html

磯谷博史のホームページ:
http://www.whoisisoya.com/

磯谷博史「Lag」展のオープニングレセプション @ 青山|目黒
磯谷博史「Lag」展のオープニングレセプション @ 青山|目黒
磯谷博史新作 「Bananas and Postcards」の裏
磯谷博史新作 「Bananas and Postcards」の裏
裏に観える展示作 「Bananas and Postcards」
裏に観える展示作 「Bananas and Postcards」
磯谷博史 Hirofumi Isoya Southward (04.37.36) 2014
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Southward (04.37.36)” 2014
Wall drawing with pen, dimensions variable, installation view at AOYAMA | MEGURO
(示された時刻はドローイングを実際に終えた時間である)
磯谷博史 Hirofumi Isoya Southward (05.11.20)
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Southward (05.11.20)” 2014
Wall drawing with pen, dimensions variable, installation view at NADiff Window Gallery
2014年11月23日、NADiff APARTの磯谷博史作品集のブックローンチ・レセプション
2014年11月23日、NADiff A/P/A/R/Tの磯谷博史作品集のブックローンチ・レセプション
磯谷博史 Hirofumi Isoya Southward (04.12.32)
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Southward (04.12.32)” 2014
Wall drawing with pen, dimensions variable, installation view at AOYAMA | MEGURO booth, LISTE, Basel
磯谷博史の新しい作品集
磯谷博史の新しい作品集
磯谷博史 Hirofumi Isoya We only live, only breathe (test piece)
磯谷博史 Hirofumi Isoya “We only live, only breathe (test piece)” 2014
Melted black glass, 30 x 34 cm
磯谷博史 Hirofumi Isoya 12 hours
磯谷博史 Hirofumi Isoya “12 hours” 2005
Resin, fly, 5 pieces, approx. 10 x 7 x 5 cm each
磯谷博史「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail
ISOYA Hirofumi 磯谷博史「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail
磯谷 博史「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail
磯谷博史「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail

磯谷博史展「出来事をどう数えるか」
(2012年4月15日)
「The Clock」、「Clockwise」、「出来事をどう数えるか」。Idea as paramount。 青山 | 目黒で粋な磯谷博史展が開催中。Spatial空間と概念化された時間。
間のフォルムラ。 例えば、12時間、12日間の内に制作するという制限。 Hominem mortuum in urbe ne sepelito neve urito.
(Lex Duodecim Tabularum 十二表法を参考) 12時間の内で閉じ込められた12匹の虫をメメントモリに配合禁忌の隠喩。 偶然な彫刻著作物とクールなデザインと機能主義の緊張感を想像します。 ピタゴラス対太陰月。建築的アーバニズム対アントロポゾフィー な自然。 作品の出来事、アーティストの姿勢、どの環境、social habitat、どのぐらいの時間的 な抑制に存在しているか、思想の伝達での毎日。
謙虚、エチケット、常識。
建築、アート、社会。
さまざまな特性の不一致が芸術活動の課題である。
Weltschmerz。
作品群の中に崇高な美しさを持つサウダージが解読できます。 磯谷さんの精神図は、fore-edge paintingのように、アンフォルメルへの恋慕する切望 として観られます。
Art is demanding。

磯谷 博史 : 出来事をどう数えるか(アンコール)
Hirofumi Isoya : Counting The Event (Encore)

2012/4/12ー 4/23
http://aoyamameguro.com/artists/hirofumiisoya-counting-the-event-encore/
http://aoyamameguro.com/en/artists/hirofumiisoya-counting-the-event-encore/

「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail
「Counting The Event」 (2012), unique installation, detail
出来事をどう数えるか
出来事をどう数えるか
磯谷 博史「Couple」 (2004), detail
ISOYA Hirofumi 磯谷博史「Couple」 (2004), detail
磯谷 博史「Couple」 (2004), Digital C-Type Print with frame colored by the artist
ISOYA Hirofumi 磯谷博史「Couple」 (2004), Digital C-Type Print, with frame, colored by the artist
NADiff APART 磯谷博史 Hirofumi Isoyaの作品集
NADiff A/P/A/R/T: 磯谷博史 Hirofumi Isoyaの作品集
上:”Compass (Shinjuku)” 2007-2012
Digital C-type print, painted frame, 26.8 x 35.3 x 3 cm, Edition of 5
磯谷博史 Hirofumi Isoya Multimodernism 2011
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Multimodernism” 2011
Digital C-Type print, painted frame, 35.3 x 21.7 x 3 cm, Edition of 5
磯谷博史 Hirofumi Isoya Arc 2014
磯谷博史 Hirofumi Isoya “Arc” 2014
Digital C-Type print, painted frame, 35.3 x 25.3 x 3 cm, Edition of 5
ISOYA Hirofumi 磯谷博史
ISOYA Hirofumi
磯谷博史
ISOYA Hirofumi 磯谷博史 “Parallax” 2016 Lambda print, circular frame, mattress, stone
ISOYA Hirofumi 磯谷博史 “Parallax” 2016 Lambda print, circular frame, mattress, stone
ISOYA Hirofumi 磯谷博史さん
ISOYA Hirofumi 磯谷博史さん
第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」のカタログ
第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」のカタログ
ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」のカタログ
第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」のカタログ
磯谷博史 Hirofumi Isoya Land 2007
ISOYA Hirofumi 磯谷博史 “Land” 2007 @ Palazzo Bembo、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ関連企画グループ展「Personal Structures」
Palazzo Bemboからの風景
Palazzo Bemboからの風景
Palazzo Bembo
Palazzo Bembo
ヴェネツィアの風景、左側:Palazzo Bembo
ヴェネツィアの風景、左側:Palazzo Bembo