ヨーゼフ・ボイス BEUYS, Joseph
Joseph Beuys (12 May 1921 – 23 January 1986) was a German Fluxus, happening, and performance artist as well as a sculptor, installation artist, graphic artist, art theorist, and pedagogue. His extensive work is grounded in concepts of humanism, social philosophy and anthroposophy; it culminates in his “extended definition of art” and the idea of social sculpture as a gesamtkunstwerk, for which he claimed a creative, participatory role in shaping society and politics. His career was characterized by open public debates on a very wide range of subjects including political, environmental, social and long term cultural trends. He is widely regarded as one of the most influential artists of the second half of the 20th century. ヨーゼフ・ボイスの提唱した概念で、あらゆる人間は自らの創造性によって社会の幸福に寄与しうる、すなわち、誰でも未来に向けて社会を彫刻しうるし、しなければならない、という呼びかけである。それは、「芸術こそ進化にとっての唯一の可能性、世界の可能性を変える唯一の可能性」というボイスの信念から発している。ただし、そこでの「芸術」とは、芸術史から出てきたような芸術の観念——彫刻、建築、絵画、音楽、舞踊、詩など——ではなく、それを超えた「拡張された芸術概念」であり、「目に見えない本質を、具体的な姿へと育て」、「ものの見方、知覚の形式をさらに新しく発展・展開させていく」ことである。社会彫刻の発想は、W・レームブルックの彫刻や、R・シュタイナーの「ドイツ国民とドイツ文化界に告ぐ」(1919)などから影響を受けたといわれている。前者の彫刻からは、「なにかが彫刻によってなされなければならない。すべては彫刻なのだ」とボイスは感じとり、そこから「彫刻的な形態を物理的な材料としてだけでなく、心的な材料として考えたときに〈社会彫刻〉の構想へと駆り立てられた」という。シュタイナーの論説からは「社会的な有機体は十分に新しい土台の上に築かれるべきである」ということを受けとり、それもまた社会を彫刻するという発想へと繋がった。もっとも、シュタイナー、つまり人智学からの影響はそれにとどまらず、ボイスが彫り進めようとした社会像の基盤ともなっていた。そして、「貨幣」や「権力」によって人間を抑圧し疎外する社会を変える=彫刻するのは、ボイスが言うところの「芸術家」=「自ら考え、自ら決定し、自ら行動する人々」であり、誰もがそうなる義務があるとさえ表明された。ボイス自身の作品においては、環境への働きかけおよび(理念的には)賛同者の募金により実現した「7000本の樫の木」プロジェクト(1982-87)が社会彫刻の頂点とも捉えられている。 著者: 長チノリ http://artscape.jp/artword/index.php/社会彫刻