福村彩子の魅力的なオクシモロン:抽象画に反射している人間の条件 @ YUKI-SIS FUKUMURA Ayako's Fascinating Oxymoron: Reflecting the Human Condition in Abstract Painting @ YUKI-SIS
アーティスティック・プラクティスにおける抽象画は、歴史的に長いアート・リネージがありますが、最近、注目されているジョアン・ミッチェル (Joan Mitchell)も、その代表者の一人です。彼女は造形上の実験をともに行いながら、新しい絵画を創造しました。2カ月前、スイスのアート・バーゼルでも、様々なブースの中で、ミッチェル作を見かけました。(1)
また、2012年、東京都現代美術館で観た、「実験工房」と関連している、傑出した福島秀子の絵画はとても印象的でした。(2)
ヨーロッパで始まり、米国でも広まったモダニズムは、実は、アジアの芸術の影響がなければ、決して発展しなかったと言えます。
そして、ニューヨークで生まれた抽象表現主義は(3)、日本のアートシーンに強いインパクトを与えているというサイクルです。
今月、東京日本橋にあるYUKI-SISギャラリー (4)で、まさに、ジョアン・ミッチェル、福島秀子と似た共通点を持つ、福村彩子さんの抽象画を興味深く拝見しました。ミッチェルよりフェミニン的、しかし、親密な作品観で、強い筆運びが似ています。
特に、キャンバスの感触を生かしつつ、じっくり絵に濃淡をつけ、異なる色合いを用いた、ペインタリー・プロセスの特質を、鑑賞者は味わう事ができます。
福村のアーティスティック・プラクティスには、曖昧なポエトリー・ランゲージや、一部に絵画療法的要素を含み、少女時代のアイデンティティー探しから、大人の円熟した製作まで、現代日本女性論、広い人生観により、「人間の条件」 (condizione umana)として、面白い検討・解釈ができます。
様々な意味で、自己同一性の表現力を選んだ媒体に映り、時々、幻影を含む感情を他者に投影する福村さん。
アーティストのバルネラビリティー、成長の仕方が見られるコンテクストから、無意識的に、知覚できる変化を示しています。
社会人の解放や、ダイアリーが、インディペンデンスや多面体のあるアート実践を再考・象徴した展覧会となっています。
次は、ある程度の大型キャンバスのようなタブローで、アーティストの進化的な現象世界のインスタレーションによる個展を期待しています。
東京、2018年8月21日
亜 真里男
(1)
Women Artists and Postwar Abstraction | HOW TO SEE the art movement with MoMA curator Starr Figura
(2)
東京都現代美術館 常設展示室
MOTコレクション「特集展示/福島秀子」
クロニクル1964-/OFF MUSEUM、2012年
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/year.html
(3)
The Art Newspaper
What debt does mid-century American abstract painting owe to Monet?
David Anfam, 17th August 2018
quote:
“Modernist”, that is, if one accepts the US critic Clement Greenberg’s narrative theory of a progressive surrender to the medium, a pictorial push towards flatness, homogeneity and blandness. Unfortunately, none of the Abstract Expressionists did.
https://www.theartnewspaper.com/review/what-debt-does-mid-century-american-abstract-painting-owe-to-monet
クレメント・グリーンバーグ
https://en.wikipedia.org/wiki/Clement_Greenberg
(4)
福村彩子 個展 “LIFE/LIVE” @ YUKI-SIS
Solo Exhibition by FUKUMURA Ayako
企画 Curated by 小泉有紀 KOIZUMI Yuki
103-0023 東京都中央区日本橋本町3-2-12,#202
Tue.-Sat. 12:00-19:00 Close on Sun. Mon. National Holiday
Nihonbashi Xio Lou #202, 3-2-12, Nihonbashi Honcho, Chuo-ku, Tokyo
http://yuki-sis.com/
今日のおまけ:
photo shooting at the gallery…