ヘルムート・ベルガー、永遠の運命に Helmut Berger, bestimmt für die Ewigkeit
オーストリア出身の俳優で、ルキノ・ヴィスコンティとの定期的なコラボレーションを行い、1960年代のヨーロッパのアートハウス映画で最も知られた顔の一人となったヘルムート・ベルガーが78歳で死去したことがわかった。このニュースは、俳優のエージェントが発表したもので、彼のマネージメント会社のウェブサイトに「安らかに、しかし予期せぬ形で」亡くなったと記されている。
1944年にオーストリアで生まれたベルガーは、ローマに移り住み、両親の接客業に興味を示さなかった為、俳優としてのキャリアをスタートさせた。1964年にヴィスコンティと出会うまでは、エキストラとして働いていた。「若者のすべて」のヴィスコンティ監督は、1967年にヴィットリオ・デ・シーカやピエル・パオロ・パゾリーニが監督したオムニバス映画「華やかな魔女たち」に小さな役で出演させた。ベルガーとヴィスコンティは、その後10年間のヨーロッパ映画の展望を形成することになる、仕事や恋愛の関係を始めた。
ベルガーの最も重要な役どころは、ヴィスコンティの次のプロジェクトだった: 「地獄に堕ちた勇者ども」と「ルートヴィヒ」。1969年の「地獄に堕ちた勇者ども」では、ナチス・ドイツの鉄鋼帝国の後継者で、金と権力への欲望を満たすためならモラルを曲げ、ヒトラーとの取引もいとわない、狂気の架空人物を演じた(他にもいろいろある)。その3年後の「ルートヴィヒ」では、悪名高い「白鳥の王」バイエルン王ルートヴィヒ2世を演じ、贅沢への執着と豪奢なライフスタイルを追求し、ついには精神異常者と認定されるに至った。両作品とも、曖昧なセクシュアリティを持つ権力者を演じたことで、ベルガーはこの時代の最も注目すべきセックスシンボルの一人として確立された。
1974年の「家族の肖像」ではヴィスコンティと再タッグを組み、バート・ランカスターが老いた教授を演じ、若い男(ベルガー)と親密な関係を築いた。この作品は、ヴィスコンティとベルガーが10年以上の歳月をかけて築き上げた親密な関係の寓意として解釈されることが多い。この作品は、ヴィスコンティが1976年に亡くなる前の最後の作品であり、2人が一緒に仕事をする最後のプロジェクトであった。
ベルガーは2019年に引退するまで俳優活動を続け、マッシモ・ダラマーノ監督のオスカー・ワイルドを翻案したDorian Grayで主役を、フランシス・フォード・コッポラ監督のThe Godfather Part IIIでフレデリック・ケインツィヒを演じて記憶に残っている。