私 (亜 真里男) とピエール・ボナール I (Mario A) and Pierre Bonnard
Pierre Bonnard “Femme assoupie sur un lit” ou “L’Indolente” 1899, huile sur toile, 96,4 x 105,2 cm @ musée Bonnard, Le Cannet
ART+CULTUREの読者は、私が次のようなアーティストたちのヴィータを丹念に調査し、研究し、興味を持って追いかけていることに直感的に気づいているだろう:レオナール・フジタとフィンセント・ファン・ゴッホ。
3人目の画家は、こちらにまだ書いていないジェイムズ・マクニール・ホイッスラー。
今日はその4人目を初めて紹介させていただきます:ピエール・ボナール。
この4人の画家たちには、「ジャポニスム」というジャンルとの接触や影響の共通点があります。当然のことながら、日本から来たレオナール・フジタは、この文脈ではあまり重要な役割を果たしていません。それにもかかわらず、南フランス、パリ、ランス、南米、ニューヨーク暮らしの中、どういう風に「イマージュ・ジャポネズリ」を描いたか、知りたかったからです。
私はジャポニスムが大好きです。日本語に翻訳すると「日本趣味」。ベルリン大学時代から、欧米における日本趣味の歴史や影響を国立図書館で調べ、今でもジャポニスム関係の本を集めています。ジャポニスムの「ズレ」「違和感」「妄想」「異国趣味」に強く惹かれます。自分のアーティスト活動の中には、「néo japonisme」(1996-2019)や「新日本画」(2008〜 )というシリーズがありますが、これらはジャポニスムの流れに位置する作品です。日本美術史家・山下裕二氏の評論や、日本現代アーティストが自身の作品をジャポニスム、又は、ネオ・ジャポニスムと評するケースをしばしば見かけまが、それは間違った使い方です。定義上、ジャポニスムという専門用語は、「外国人が感じる日本趣味」であり、日本人が感じる日本趣味ではありません。
世界の絵画史では、クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ》(1875-76)、ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《La Princesse du Pay de la Porcelaine》(1863-1864)、ジョルジュ・ ロシュグロス《Portrait de Sarah Bernhardt》(1900) 、ジェームズ・ティソ「La Japonaise au bain」(1864年)などが、代表的な作品です。はたして、《Gogh, Kiyoshiro & Me (Summertime Blues – Tokyo 2020)》(2016)は、ジャポニスムの歴史に名を残すことができるでしょうか。
2012年のアートフェア東京での個展にて、美術評論家・名古屋覚氏から、「あなたは日本で一番良い油絵画家です。そして、作品にイタリアのルーツを感じる」と言われました。さらに、2016年に「日本で最も優れた油彩を制作する画家の一人、いや唯一の一人」という名古屋さんの評論の中を読んだ時、将来への強いプレッシャーを感じました。キャンバスと格闘しながら、新しいジャポニスム(=和洋折衷)を生み出し、課題を解釈・解決し、いかに規則を曲げられるかに真剣に取り組む毎日です。
レオナール・フジタ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー、ピエール・ボナール。彼らの絵画を用いて、顔料素材、混ぜ方、色調の使い方、筆の勢い、色彩感覚が結構面白く、さまざまな、日本式なダメ語義を使わさせていただくと、「洋画」の制作秘密が鑑賞できます。
しかし、自己分析をすると、上に説明した通り、4人の素材、 色彩、形態、賦彩、マチエール、モチーフ、想像力などが、私の描き方にほとんど影響なく、むしろ、心理学的形態論の方が、魂の兄弟として相応しい世界観です。
1841年に塗料用の絞り可能な金属チューブが開発されてから、モネ・セザンヌ・ゴッホなどが西洋式な「近代美術」の流れ、ボナールに影響を与えました。彼が、ジャポニスム、写真、反アカデミズムのフュージョンでナビ派の仲間たちと組んで、大騒ぎになったと言っても過言ではないです。
彼らがパリを激怒させたのは、当時に美学界で消化されたばかりの印象派が始めた、極端に主観的な絵画を継承していたからです。
自然現象をイメージするのではなく、自分が見た自然現象を再現することが目的でした。ナビ派は、視線をイメージに従属させて、芸術は最も忠実な現象学であるという思想でした。
「創始者」か、又は「さらなる進化」か、見方によって、彼らの姿勢が、折衷主義を通じて、「モダニズム」(又は、さまざまなモダニズムの張り合う)を象徴化しました。
子供の頃から、直感的で鋭い目を持っている、62歳になったの私。他の人と比べて、傲慢にならない程度に、細部までよく見え、視野が広く、状況を素早く予測することができる、申し訳ありませんが、なんとなく、この歳で、と語れます。初めてボナールの絵を観た時、写真構造の馴染みがあって、モチーフの中、鏡に映る姿が隠れた要素として含まれていることにすぐ気づきました。そして、ここは「ヘン」。初期ごろ、ジャポニスムを作品に描き込んだから、このような「ズレ」や「異国趣味」のおかげで、ボナールの全体像を好きになりました。
ボナールの思索的な画像のまなざし。50mmのカメラレンズを絵画的な色調に巧みに変化させる。破壊的なピクトリアリスム。居心地の良いリビング・、ベッド・、バス・ルームでのありふれた日常的な状況。
私生活からソーシャル・コメンタリーへの解放信号。ボナールの使命感、認知的勤勉さは、荒地、メランコリー。奥さんに騙されたので、人生のトラジコメディーを示しています。
悲劇的な存在の概念、鏡を見ながら、泣くか、喜ぶか。
現代版:インスタる、インスタ・フィルター自画像、可愛い女と呼ばれたい。
複音の陰影で、現実の寓意を用いて、ボナール画に反射している人間の条件ではないでしょうか。
(顔に)描くことは魂の独り言です。
2021年8月14日
亜 真里男
他に、ご参考:
私 (亜 真里男)と草間彌生、長い芸術の旅、アンプラグド
I (Mario A) and KUSAMA Yayoi, a long artistic journey, unplugged
https://art-culture.world/articles/mario-a-kusama-yayoi-草間彌生-亜真里男/
藤田嗣治・Léonard Foujitaの作品との出会い
Encountering the works by Léonard Tsuguharu Foujita
https://art-culture.world/articles/foujita-tsuguharu-leonard-tsuguharu-foujita-kimiyo-藤田嗣治/
例えば:ソーシャル・プラスチック
Zum Beispiel: Soziale Plastik
https://art-culture.world/articles/soziale-plastik-ソーシャル・プラスチック/
以下の写真はすべて by 亜 真里男
Pierre Bonnard “Femme endormie” 1928, huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
左:Peter Nansen 「Marie」1898年 (version français, deuxième édition) Dessins de Pierre Bonnard
右:Pierre Bonnard et Paul Verlaine 「Parallèlement」 1900年 Ouvrage illustré par Pierre Bonnard
Pierre Bonnard “Femme assoupie sur un lit” ou “L’Indolente” 1899, huile sur toile, 96,4 x 105,2 cm @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “Vu du Cannet” 1927, huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “Nu de profil” vers 1917, huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “Paysage, soleil couchant (Le Cannet)” vers 1923, huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “Femme debout dans un intérieur” dit “La Valise” s.d. huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “La Salle à manger au Cannet” 1932, huile sur toile @ musée Bonnard, Le Cannet
Pierre Bonnard “La route rose” 1934, huile sur toile, 59 x 61 cm, Musée de L’Annonciade, St. Tropez
レオナール・フジタのCagnes sur Merの景色を比較:
藤田嗣治・Léonard Foujitaの作品との出会い
Encountering the works by Léonard Tsuguharu Foujita
https://art-culture.world/articles/foujita-tsuguharu-leonard-tsuguharu-foujita-kimiyo-藤田嗣治/
カーニュ=シュル=メール Cagnes-sur-Mer, photo taken from Château-Musée Grimaldi
藤田嗣治 Léonard Foujita “Cagnes-sur-Mer” 1918 (Kunstmuseum Luzern)
藤田嗣治 Léonard Foujita “Lettre au marchand Georges Chéron” 1918
藤田嗣治 Léonard Foujita “Lettre au marchand Georges Chéron” 1918
Pierre Bonnard “La ferme au toit rouge” vers 1923, huile sur toile, 46 x 58 cm, Musée de L’Annonciade, St. Tropez
Pierre Bonnard “Nu devant la cheminée” 1919, huile sur toile, 77.5 x 59.5 cm, Musée de L’Annonciade, St. Tropez
Pierre Bonnard “Nu dans le bain” 1936, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Femme à sa toilette” vers 1934, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Ambroise Vollard au chat” vers 1924, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Le Jardin” vers 1936, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Coin de table à manger au Cannet” vers 1932, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Nu de dos à la toilette” 1934, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Le corsage rouge” 1925, huile sur toile, Paris
Pierre Bonnard “Femmes au jardin” 1890/1891, Dekorative Banneaux, Leimfarbe über Kohle, Bleistift und weisse Kreide auf Papier, auf Leinwand aufgezogen, Zürich
Pierre Bonnard “La famille au jardin (Grand-Lemps)” 1901, huile sur toile, Zürich
Pierre Bonnard “Signac et ses amis en barque” 1924, huile sur toile, Zürich
Pierre Bonnard “L’abat-jour orangé” 1908, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Pierre Bonnard “Jeune fille nue la cheminée” oder “Nu devant la cheminée” 1919, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Pierre Bonnard “La tasse bleue” um 1907, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Pierre Bonnard “Nature morte avec fruits” um 1925, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Pierre Bonnard “Le moulin à café” 1930, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Pierre Bonnard “Prunes et raisins” um 1907-1908, Ölfarben auf Leinwand, Winterthur
Up-date 2023/7/10
PIERRE BONNARD
Designed by India Mahdavi
National Gallery of Victoria in Melbourne
June-October 2023
https://www.ngv.vic.gov.au/exhibition/bonnard/