美術館の館長たちへ、1日も早く、目を覚ませ! Japanese museum directors, quickly, wake up!
我が国の現代アーティストたちは、最近、国際的に非常に注目され、活躍しています。
残念な点は、近年の国内、東京、関東の美術館のプログラムを解析しますと、日本の現代アーティストたちに対して、前向きなリスクやイニシアチブを取らずに、ほとんど眠っている状態にしか見えません。
美術館の館長たちへ、1日も早く、目を覚ませ!
あなたたちは、時代遅れです。そして日本の現代アートをダメにしています!
非常に優秀なアーティストの為にも、次のような企画展・グループ・ショーを実現させてください。
いつまで、お待ちになるおつもりですか?
昨年、東京都議会議員選挙の際に、安倍総理が使ったスローガンを、関東の美術館の館長たちへ:「東京を世界で一番の都市に!」
以下は、ご参考までに、現代日本の社会の空気をよく読み取り、それを上手く作品に反映させているアーティストの一覧です。
Despite the superb exhibitions by Japanese artists in the global art scene, ignorant Japanese museum directors are closing their eyes.
This scandalous situation, namely the lack of museum shows by contemporary Japanese artists, especially in the Tokyo region, has to be changed as quick as possible!
Let’s remember what Prime Minister Shinzo Abe proclaimed last year, 2017: “Tokyo Should Become World’s No.1 City!”
Without fear and censorship, a group show with these artists should be realized as soon as possible.
Tokyo, 2018/8/14
Mario A
TANAKA Koki 田中功起
KAZAMA Sachiko 風間サチコ
FUJII Hikaru 藤井光
KOIZUMI Meiro 小泉明朗
OZAWA Tsuyoshi 小沢剛
YANAGI Yukinori 柳幸典
TAKAMINE Tadasu 高嶺 格
IWASAKI Takahiro 岩崎 貴宏
YAMASHIRO Chikako 山城知佳子
YONEDA Tomoko 米田知子
HIRAKAWA Noritoshi 平川典俊
TERUYA Yuken 照屋勇賢
AOYAMA Satoru 青山悟
NIWA Yoshinori 丹羽良徳
ISHIKAWA Mao 石川真生
タイムリーなアップデート、今日の美術手帖サイト:
これからの美術館を考える – 2018.8.18
シリーズ:これからの美術館を考える(4)
「学芸員」という概念を解体しよう
5月下旬に政府案として報道された「リーディング・ミュージアム(先進美術館)」構想を発端に、いま、美術館のあり方をめぐる議論が活発化している。そこで美術手帖では、「これからの日本の美術館はどうあるべきか?」をテーマに、様々な視点から美術館の可能性を探る。シリーズ第4回は、東京国立近代美術館や国外の美術館で数々の展覧会を手がけてきた同館主任研究員の保坂健二朗。
文=保坂健二朗
引用文:
「学芸員」という概念を解体しよう
日本でこの種の議論がうまくいかないのは、結局のところ、レジストラーを新設するとなると、現在の財政状況では人員の「純増」は認められないから「学芸員」を減らさなければならず、しかしその決断は自分たち学芸員にはなかなかできないからだろう。その気持ちはよくわかる。とくに、長く学芸員として働いてきた人ほど、新しい職種を認めるのは自己否定にも似た気持ちがつきまとうことだろう。ほとんど理系のコンサヴァターなら専門外だからその必要性を認められるかもしれないが、作品管理を専門とするレジストラーとなると、「それなら自分もキュレーションのかたわらやってきた」という思いになるだろう。
邪推だろうか。だが、そろそろ現実を見据えたほうがよいことは間違いない。学芸員をオールラウンドプレイヤーとして位置づけ、そのガラパゴス的な特殊性を専門性であると自分に対しても他人に対しても偽り続けることはもうやめにしたほうがよい。レジストラーでもいい、コーディネーターでも展覧会マネージャーでもいい、新たな職種を新設し、「学芸員」という概念を解体しよう。そうしないかぎり、つまり学芸員の職務をよりキュレーションに特化する工夫をしない限り、国際的な視野を醸成するための精神的・時間的余裕など持てるはずもない(なお、たとえ日本の近代や日本画が専門だったとしても、国際的な視野は当然ながら必要だ)。また、学芸員/事務方という対立構造や、その間に生じがちなヒエラルキーを回避し、美術館の中にいきいきとした雰囲気を生み出すことも難しいだろう。
外部から突然頓珍漢なリーディング・ミュージアム構想を突きつけられることなどないようなプレゼンスを、どのようにしたらこの国の美術館は持てるようになるのか、それを真剣に改めて議論すべき時期に、今私たちは直面している。
https://bijutsutecho.com/magazine/series/s13/18268
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facebookで、二人のコメント:
M.S. (2018/8/14)
完全に個人美術館じゃない場合、寝ている人もいるけど、多くは目は覚めていても、起き上がらせない、行政や団体、来場者や見識者と呼ばれる人達の呪縛もあるのではないでしょうか?
R.T. (2018/8/18)
保坂さんが言っていることは、真っ当なことだと思いますが、それなら国立の美術館はキュレーターをすべて解雇してフリーで新たに雇った方が個人的な実力主義でよいと思います。税金で企画の学芸員を雇うより、収蔵やレジストレーションを専門の人がやる方がいいです。自己検閲がはびこる組織で先進的な企画などできないのなら、インディペンデントが一番です。
独立行政法人国立美術館
東京国立近代美術館
館長 神代 浩
http://www.momat.go.jp/ge/wp-content/uploads/sites/2/2017/11/4a6344f970b9e23c4f4e14b1b6c236fd.pdf
東京都美術館 館長 真室佳武
https://www.tobikan.jp/outline/greeting.html
国立新美術館 館長 青木保
http://www.nact.jp/information/introduce/greet/
東京都現代美術館
館長 髙嶋 達佳
http://www.mot-art-museum.jp/aboutus/greeting.html
森美術館 館長 南條 史生
https://www.mori.art.museum/jp/about/mission/index.html
横浜美術館 館長 逢坂恵理子
https://yokohama.art.museum/about/greeting/
国立国際美術館 館長 山梨 俊夫
http://www.nmao.go.jp/guide/message.html
三菱一号館美術館 館長 高橋明也
https://mimt.jp/about/message/
平塚市美術館 館長 草薙奈津子
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/greeting.html
京都国立近代美術館長 柳原 正樹
http://www.momak.go.jp/Japanese/news/2013/yanagihara.html
山種美術館 館長 山崎妙子
http://www.yamatane-museum.jp/aboutus/director.html
全国の美術館における平成27年度新館長人事を以下に記載する。(敬称略)
http://www.art-annual.jp/news-exhibition/news/49790/
〈2014年12月16日付〉
Bunkamura ザ・ミュージアム ▶西村友伸
〈2015年1月1日付〉
郷さくら美術館 東京 ▶中村鉄平
呉市立美術館 ▶松田 弘
〈2月16日付〉
三鷹市美術ギャラリー ▶津端 修
〈4月1日付〉
中原悌二郎記念 旭川市彫刻美術館/同館ステーションギャラリー ▶滝野沢守
金田心象書道美術館 ▶田村真造
市立函館博物館 ▶斉藤総一
青森県立美術館 ▶杉本康雄
青森公立大学国際芸術センター青森 ▶福士耕司
秋田県立近代美術館 ▶沢屋隆世
秋田県立博物館 ▶佐々木人美
仙北市立角館町平福記念美術館 ▶草彅正勝
天童市美術館 ▶池田良平
山形美術館 ▶髙橋邦芳
二本松市大山忠作美術館 ▶内藤徳夫
小杉放菴記念日光美術館 ▶福田昌浩
さくら市ミュージアム‐荒井寛方記念館 ▶加藤誠一
とちぎ蔵の街美術館 ▶横倉延男
群馬県立近代美術館 ▶井出洋一郎
富岡市立美術館博物館・福沢一郎記念美術館 ▶村田文代
埼玉県立歴史と民俗の博物館 ▶代島常造
市川市東山魁夷記念館 ▶寺沢和博(施設長)
千葉県立美術館 ▶田村俊雄
朝倉彫塑館 ▶中瀬恒徳
台東区立書道博物館 ▶柴崎眞一
東京藝術大学大学美術館 ▶秋元雄史
東京芸術劇場 ▶荻田 伍
目黒区美術館 ▶秋山光文
О美術館 ▶鳥山 玲
板橋区立美術館 ▶池田雄史
府中市美術館 ▶藪野 健
武蔵野美術大学 美術館・図書館 ▶赤塚祐二
日吉の森 庭園美術館 ▶田邊美紗代
川崎市市民ミュージアム ▶澤村正彦
上越市立総合博物館/小林古径記念美術館 ▶宮崎俊英
福井県陶芸館 ▶網谷克彦
福井市美術館 ▶西村英之
南アルプス市立春仙美術館 ▶秋山 弘
北野美術館/北野美術館戸隠館/北野カルチュラルセンター ▶小池佳子
佐久市川村吾蔵記念館 ▶日向 浩
信州新町美術館 ▶瀧澤一彦
諏訪市美術館 ▶五味裕史
諏訪市原田泰治美術館 ▶林 武雄
飯山市美術館 ▶石田一彦
北アルプス展望美術館(池田町立美術館) ▶冨永淳子
大垣市守屋多々志美術館 ▶浅野孝一
岐阜県博物館 ▶杉原茂男
岐阜県美術館 ▶日比野克彦
中山道広重美術館 ▶小嶋初夫
静岡市東海道広重美術館 ▶岩崎均史
静岡市立芹沢銈介美術館 ▶岸端 隆
駿府博物館 ▶山下 徹
掛川市二の丸美術館 ▶高柳由美
資生堂アートハウス ▶真家恵子
浜松市美術館 ▶飯室仁志
愛知県美術館 ▶島 敦彦
岡崎市美術館 ▶堀江登志実
豊田市美術館 ▶村田眞宏
滋賀県立琵琶湖文化館 ▶森 良和
福知山市佐藤太清記念美術館 ▶駿河禎克
明石市立文化博物館 ▶磯山幸一郎
神戸市立小磯記念美術館/神戸ゆかりの美術館 ▶岡 泰正
西宮市大谷記念美術館 ▶越智裕二郎
奈良県立民俗博物館 ▶岡橋 進
入江泰吉記念奈良市写真美術館 ▶百々俊二
米子市美術館 ▶中村智至
岡山県立美術館 ▶守安 收
倉敷市立美術館 ▶坂田卓司
美作市立作東美術館 ▶宮前 聖
尾道市立美術館 ▶小林哲也
広島県立美術館 ▶千足伸行
下関市立美術館 ▶吉川宗利
坂出市民美術館 ▶宮内 章
今治市玉川近代美術館 ▶青陽勇二
愛媛県美術館 ▶中矢敏彦
九州国立博物館 ▶島谷弘幸
福岡アジア美術館 ▶森 英之
嘉麻市立織田廣喜美術館 ▶梅井史枝
田川市美術館 ▶尾垣有三
佐賀県立博物館/佐賀県立美術館 ▶蒲原晃嗣
朝倉文夫記念館 ▶宗像健一
鹿児島県立博物館 ▶川原裕明
〈5月1日付〉
今治市河野美術館 ▶矢野 巧
徳島県立近代美術館 ▶小林 功
〈5月11日付〉
そごう美術館 ▶岡田正俊
〈7月1日付〉
北海道立近代美術館 ▶嵐田 昇
北海道立三岸好太郎美術館 ▶嵐田 昇
11年前、2007年の面白いリストへのリンク:
http://d.hatena.ne.jp/kachifu/20070321/p1
美術館の館長って一体何をしているのかわからない。ので、とりあえず…
• 国立西洋美術館 青柳正規(考古学者、美術史学者)*websiteに記載なし
• 東京国立近代美術館 辻村哲夫(元文部省初等中等教育局長)*websiteに記載なし
• 京都国立近代美術館 岩城見一(美学、芸術学)
• 国立新美術館 林田英樹(元文化庁長官)
• 国立国際美術館 建畠晢(早大学文学部卒、近現代美術)*websiteに記載なし
• 青森県立美術館 三村申吾(青森県知事が兼任→no title)
• 富山県立近代美術館 山下富雄(元教育委員会) *運営理念なし
• 水戸芸術館 吉田秀和(音楽評論)
• 群馬県立近代美術館 *websiteに記載なし *運営理念なし
• 宇都宮美術館 谷新(現代美術評論)*websiteに記載なし *運営理念なし
• 栃木県立美術館 *websiteに記載なし *運営理念もなし
• 千葉市美術館 *websiteに記載なし
• 埼玉県立近代美術館 *websiteに記載なし *運営理念もなし
• 東京都美術館 *websiteに記載なし *沿革はあれど運営理念なし
• 東京都庭園美術館 *websiteに記載なし
• 東京都現代美術館 氏家齊一郎(日テレ代表取締役取締役会議長)*運営理念なし
• 江戸東京博物館 竹内誠
• 東京都写真美術館 福原義春(資生堂会長、企業メセナ協議会会長/理事長)*websiteに記載なし総務省|ご案内ページ -ご利用のページが見つかりません-/Culture Power – 東京都写真美術館
• 世田谷美術館 酒井忠康(美術評論、元神奈川県立近代美術館館長)*websiteに記載なし
• 府中市美術館 本江邦夫(元国立近代美術館学芸員)*websiteに記載なし *運営理念もなし
• 神奈川県立近代美術館 山梨俊夫(東大学文学部美学芸術学科卒、元同館学芸員)*websiteに記載なし
• 横浜美術館 雪山行二(元愛知県美術館、元国立西洋美術館)横浜トリエンナーレ特集: 横浜美術館 雪山行二館長 アーカイブ
• 練馬区美術館 *websiteに記載なし *運営理念もなし
• 板橋区立美術館 *websiteに記載なし *運営理念もなし
• 森美術館 南条史生(ナンジョウアンドアソシエイツ)
• 金沢21世紀美術館 秋元雄史(東京芸大油画卒、地中美術館館長)コラム – 緑のgoo
• 愛知県美術館 市川政憲
• 名古屋市美術館 *websiteに記載なし *運営理念もなし
• 豊田市美術館 寺光彦(元プロダクトデザイナー、元名古屋造形芸術大学・名古屋造形芸術短期大学学長)no title
• セゾン現代美術館 難波英夫*websiteに記載なし *運営理念もなし
• 滋賀県立近代美術館 榮樂徹?*websiteに記載なし
• 和歌山県立近代美術館 中山次郎(元和歌山県副知事)*websiteに記載なし *運営理念もなし
• 兵庫県立近代美術館 中原佑介(現代美術評論)*運営理念なし
• 大原美術館 高階秀爾(元国立西洋美術館館長、東大名誉教授、美術史)*websiteに記載なし お探しのページが見つかりません | 中国新聞アルファ
• 広島市現代美術館 *websiteに記載なし
• 山口県立美術館 松原清(元県職員)*websiteに記載なし
• 北九州市立美術館 小島*websiteに記載なし *運営理念もなし
• 熊本市現代美術館 南嶌宏*websiteに記載なしCulture Power – 熊本市現代美術館
2018/11/15 アップデート:
2018年11月14日、Shingo Jinno
森美術館15周年記念の「拡張する現代美術と変わる美術館」。
日本側登壇者が年配の男性という状況ですでに拡張も変わる気もないことが伝わって来なくもない。痛々しい。
社会が前提されて美術館があるのか、美術のために美術館があるのか、前提の違いが大きい。
テートモダン館長らはもちろん前者で、その中で何をすべきか熱く語っていたけど、日本側は…。現代性と国際性と子ども、それを極めてぬるい形で語るという。かなり悲しく、残念。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2363132320381433&set=a.256124567748896&type=3&theater
長文です。先ほどのトークの私的まとめです。
今日聞きに行ったパネル・ディスカッション「拡張する現代美術と変わる美術館」の主なテーマは、現代の美術館、特に現代美術館が、大きく変容する世界の中でどのように組織を回し、キュレーションとコレクションを実践していくのかということだったと思う。その点で言えば、南オーストラリア州立美術館館長のデヴェンポートさん、MoMA館長のグレン・ラウリィさん、テートモダン館長のフランシス・モリスさんのプレゼン内容は明確で、テーマに相応しかった。一方で森美術館の南條館長と大原美術館館長の高階秀爾さんのプレゼンは大いに疑問を持った。疑問というよりも、前提の違いがあまりにも大きいことが露呈したと言った方が良いかもしれない。
前提の違いというのは、美術/アートをどのように捉えているかということ。その鍵は美術というものをすでにあるものとして「固定的に」捉えるか、常に更新される「流動的な」ものとして捉えるかの違い。前者であれば、そうした美術のための箱として美術館はあるということになり、南條、高階両氏の語る変化とか新しさはその枠内でのものに留まる。それは南條さんが美術館を「展示空間」と定義してからプレゼンを始め、新しいテーマを外野的に語っていたこととか、高階さんが子どもたちを美術館に招いて、模写から作品を学ばせるみたいな話を新しい取り組みの実例として紹介していたことから明らかだと思う。
森美術館はもちろんとても面白い美術展をやってきてはいるけど、館長のプレゼンの中で森美術館の中核的コンセプトである現代性と国際性について細かな定義や、その変化について全く語られなかったことからもそう指摘できるのではないか。国際性と現代性は、美術の味付けの問題に過ぎないように見える。
テートモダンやMoMAは、市民が世界で起こっている何らかの事象にアクセスする回路として美術館を捉えていて、パブリックと個々の生き方が交差するところと美術館を考えている。だから特定の政治性は持たず中立であることが前提になるけど、喫緊の課題が生じた時にはとても態度を明確に示す。例えばアメリカでトランプが敵性国家を指定しその国の人の入国を禁止する大統領令を出した時、MoMAはイランなどその国出身のアーティストの作品をあえて展示した。日本だとそれをもって「特定の政治的立場を示してるじゃん」と言われるのだろうが、彼らにとっては、社会の前提が「個人が自由であることが望ましい」ということなので、それを制約するものに対して「ノー」の姿勢を示すことは中立性を示す積極的態度だということになる。そのような反応をする主体としての美術館が現代において重要だという立場はとても明瞭に語られていた。
その点で言えば、高階さんの語る美術館の意義が、出征する若者が生きて戻って来られないと思い大原美術館に来たという「素敵な」エピソードによって語られていたのはとても対照的だったと思う。そこでは、平和な状況で色と形の戯れを愛すことのできる癒しの場といった価値を本質的なものとしている。それは日本の美術理解、美術館理解を象徴的に表していたように思う。例えるなら、戦争に行かないという考えがあることを教えたり、そういう考えの人たちを勇気づける組織でありたいというのがMoMAやテートモダンなのだろう。
その違いは、私が西洋美術史の授業で強調する点でもあるのだが、表現者としての人間を近代美術の中核に吸えるのか、ある種の平和な趣味性を美術「作品」の中に見ているかの違いだろうと思う。後者の努力では、せいぜいが新しいテイストを付加することが新しさへの挑戦であり、前者はあるべき人間像、保証されるべき権利を前提として、それが揺るがされた時、軽んじられている状況にある時、それに敏感に反応することが最重要の項目であり、その先頭にアーティストがいるということになる。炭鉱のカナリア説ですね。
社会状況は常に変化し、人々は常にさまざまな危機を抱える。精神的にも経済的にも身体的にも。それをどのように捉え、どのように伝えるのか、課題が常に新しいのだから、それへの反応も当然常に新しい。それが現代美術館なのだというのがテートモダンやMoMAの意識なのだろう。そう考えると最初の質問者の、モダンの定義が変わってしまったのか?何が起きているのか?という質問もまた凡庸に過ぎ、美術/アートを固定的に捉えるからこその質問だよなとも。
森美術館の新しさも、欧米のそうした新しさを、テイストとして付加したものに過ぎないのかもしれないと思った。同じ新しさでも前提は大きく異なるということが際立ったトークだった。例えば、今の日本の国会では30万人の外国人労働者の受け入れられ、先行する技能実習制度では人権を無視した酷い事例が数多報告されているわけで、その中での経済のみを優先しての政策実行。そうした状況で美術館は何を喫緊の課題と捉えて展覧会を企画するのかが問われているということだよね。
紹介された日本と海外の美術館の新しい取り組みの落差からそんなことを感じました。
現代美術は、単に過激性をどこまで許容するかという問題ではないと思う。でも、美術/アートの理解の前提が、感性的趣味・テイストの範囲にとどまっている限り状況は変わらないだろうなぁ。だから教育が大事なのだが、そこが一番趣味の世界になってしまってるから手のつけようがない。
そう言えば、高階館長は大原美術館の取り組みとしてヤノベケンジのサンチャイルドも取り上げてたけど、もちろん被災地を巡る最近の問題には触れていない。ただ「.良い作家だ、良い作品だ」と。日本的な事情から御大が館長をやらねばならないのだろうが、ちょっと痛々しく感じた。ボードのメンバーだからここにいるということではあるが、問題だと思う。だから何周遅れにもなってしまう、というか、それが前提なのか日本…。
ひとりの質問者が「ビジネスも同様だと思うが、そうしたリスクを取れるのはなぜか」みたいな質問をしてたのがとっても皮肉に見えた。前提のなさ、権威主義、前例主義、日本のヤバさはそこにあると強く再認識した。
残念ではあったが整理するには良い機会ではあった。
ーーーー
コメントとして:
Shingo Jinno
ちなみに、南條館長や高階秀爾館長は尊敬に値する人だと思ってます。特に幅広く美術を語れる知性として高階先生は、ゴンブリッジとともに尊敬する方です。南條さんが切り開いたものも素晴らしい。
ただしそれだから良いということではないということです。必要な役割をそれに見合った人が担わないと知的な刺激を与えることも、それを生産的なものに変えていくこともできないということなのだと思います。
今回の登壇者の中ではテートモダンのフランシス・モリスさんの発言に最も強く印象づけられたが、信念、覚悟、努力それらで対抗できていなかった、彼らは本気で真剣に語っていたと思うし、それが日常なのだろう。そこの落差が一番残念に感じられたわけです。
……
Teruhiro Shimizu ご質問させて下さい。本記事は国内と海外という対比についての見解を主に述べられていますが、公設(公立)/私設(私立)の立場の違いからの視座を加味すると、このプレゼンテーション/前提の違いは理解が変わるものでしょうか?あるいはやはり、立場所以は関係なく、日本国としての情勢のメタファーともとれるものだったのでしょうか。
Shingo Jinno そうですね、森美術館をどう考えるのかということ次第でしょう。日本の公立館が極めて自由度のない、独立性のない学芸のあり方が前提で、しかも近年の傾向はより自由度を狭められていますよね。そこからすれば私立の森美術館は自由度が高いようにも見えますし、期待もしてしまう。ただ、森美のオーナーは実業家であり、日本の文化からすると政治的な立場がどうであるのか気になります。また六本木という場所に、超高級な場所的特性を持つビルの最上階に位置していること、それがどのように影響しているのかも気になります。そうした点と公立館の難しさを比較してどちらがどうとかなかなか言いがたいかもしれません。前提として、専門機関としての独立性はまた、社会におけるアート/美術の位置づけとも関わってくるでしょうし、こうした違いの上で、なぜこのメンバーを呼んでミュージアムの変容を同じ立場であるかのように語るのかがとても奇妙に見えました。
また、男性館長で一人は80代、一人はじき70という状況は、あまりにも日本的で、海外の館長たちの問題意識と熱量と方向性とはあまりにも違っているよねということは強く感じました。年齢は本質ではない。但し、同じ土俵に立てているのか大いに疑問です。それが前提ならこのテーマは止めた方が良いし、そもそもなぜこの人たちをボードメンバーに招いているのかが問われるべきだと思います。本来的には片岡さんが館長であるべきなのではないかと感じました。それができないのが日本であり、その日本的であることが、当事者としての現代性を引き受けられないことにつながっているのだろうと思います。それが私には日本の組織に共通する問題の一つに見えてしまいます。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2363132320381433&set=a.256124567748896&type=3&theater
‘Who Needs Another Show?’ Ai Weiwei Says He’s Over the Whole Museum Thing and Is Moving to Connecticut
But far from retired, the artist is working on three new films.
artnet, Ted Loos, November 15, 2018
quote:
Ted Loos: If you could have a show at any New York museum, a big important exhibition, where would you have it?
Ai Weiwei: New York has museums?
TL: Hah.
AW: Certainly not the Met, because they’ve started to charge people money to get into the exhibitions. I don’t like that. It was okay to say pay whatever you can, that was okay, and I would go there often. And now, I say I will never go there again.
TL: That’s a big statement.
AW: There’s a much bigger life outside of there. Without life, what they have is nothing.
TL: Do you not like the Whitney or the Guggenheim either?
AW: They’re alright. I think there’s a much larger reality outside of the museum circle.
TL: So is there any museum in the world that’s ideal for your next show?
AW: I don’t need to ever have another show. I have had a lot of shows already. I’ve probably showed the most out of any individual artist. Who needs another show?
TL: So does public art fill the void?
AW: No. It doesn’t even have to have the title of ‘art.’ It can be anything. I don’t even know yet.
…
TL: Do you have a lot of museum directors asking you to please do a show?
AW: Quite a lot.
TL: And do you send a polite “no?” How do you deal with it?
AW: In our lifetime, we’ve never applied for a show, a gallery or a museum show.
TL: So all these offers from museums are not tempting you right now?
AW: We only work with people we know, through a friend or something.
https://news.artnet.com/art-world/ai-weiwei-moving-to-connecticut-over-museums-1396012
up-date 2019/9/21
大枠の話だけしますが。最初ヒラの学芸員が、だんだん出世して、ついには館長になる──こういう私立美術館の健全性が公立美術館にも今後適用されますように。もう「門外漢の名誉職としての美術館館長」って日本のクソ慣習、終わりにしようよ。