物足りない『フィリップス・コレクション展』@ 三菱一号館美術館 Unsatisfactory "Phillips Collection" @ Mitsubishi Ichigokan Museum
1920・30年代、様々なモダニズムの象徴であった国際メトロポリス・パリ。
この頃、米国のある「Aクラス・アートコレクター」は、ヨーロッパの現代アーティストと、その美術史をアメリカに紹介しようと意欲に燃えます。しかし、やがてその影響が「western art canon」に結びつく問題になっていきます。(別な視点で、注意していただきたいのは、アフリカ系、アラブ系アーティストも「western art canon」に含まれます。)
今日観たフィリップス・コレクション展では、確かに素晴らしい作品が多く、見応えがあります。とはいえ、傑作とは別に、代表とは言えない作品やマイナーな作品も、少なくありませんでした。未見の方は、ぜひご自身の目で、その差を探してみてください。
また、どのようにフィリップスさんがアートディラーに騙されたか、いくつか例が解説されており、アート収集の方法を学ぶ上では、参考となる機会です。
最後に、1920・30年代には、すでに既存であった未来派、ダダイスム(シュールレアリズム)、エロティシズム、当時パリのアートスターで東洋人の藤田嗣治作などが、一切収集されていないことを知ることができました。
東京、平成31年節分
亜 真里男
The Phillips Collection: A Modern Vision
@ 三菱一号館美術館 Mitsubishi Ichigokan Museum
2018年10月17日 ~ 2019年02月11日
https://mimt.jp/pc/
https://mimt.jp/pc/gallery.html
東京都千代田区丸の内2-6-2
2-6-2 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo
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アメリカ・ワシントンにあるフィリップス・コレクションは、20世紀の美術愛好家であるダンカン・フィリップスのコレクションによる美術館です。アメリカで近代美術を扱う最初の美術館として1921年に開館し、ヨーロッパやアメリカの近代絵画を数多く所蔵します。本展では、同館のコレクションの中から、アングルやドラクロワなど19世紀の巨匠や、クールベ、マネ、印象派のモネ、印象派以降の絵画を牽引したセザンヌ、ゴーガン、アンリ・ルソーやパウル・クレー、ピカソやブラックなどによる作品75点を展示します。
The oldest modern art museum in the USA, The Phillips Collection, celebrates its 100th anniversary this year. To commemorate, Mitsubishi Ichigokan Museum is dedicating its latest exhibition, “The Phillips Collection: A Modern Vision,” to the impressionists, post-impressionists and masters admired by Duncan Phillips (1886-1966), a private collector with discerning perception. Showcasing 75 artworks carefully selected from this American art institution, the exhibition features works from some of the world’s most important modern painters including Manet, Cézanne, Picasso, Gauguin and Klee.
Renoir’s masterpiece in the Phillips Collection is not in this show.
Photos: CCCS courtesy creative common sense